事例

Biz/BrowserとWeb Performerを連携し、ローコード開発によりオフラインでも使用できる環境を実現

佐藤工業株式会社

  • 業種

    建設

  • 課題

    マルチデバイス対応
    レスポンス、操作性をアップしたい
    システムのオフライン運用

  • 導入メリット
    • スマートデバイス対応。使い慣れたスマートフォンで操作できる。
    • マルチプラットフォーム。Android やiPhone など、機種を限定しない。
    • 優れた操作性。工事現場でも容易に操作できるUI を開発できる。
  • 対象デバイス
    スマホ/タブレット

日本の建設現場では人手不足が深刻化している。とりわけ若者の就業者が少なくなり、官民一体となって対策を模索している状況だ。作業現場でもICTを活用した生産性向上に取り組み、スマートデバイスを使った作業スタイルなど、新たな働き方が見られるようになった。

その代表的な例が、佐藤工業の開発したコンクリート品質管理システム「健コンカルテ」である。現場で使用するスマートデバイスのアプリケーション開発に「Biz/Browser SmartDevice」を利用し、クライアント端末のマルチプラットフォームを実現した。使い慣れたスマートデバイスであることから抵抗なく受け入れられ、現場作業の効率化やミス削減などに役立っている。


導入背景

江戸時代から続く総合建設会社
国土交通省が推進する建設工事へのICT活用を本格化

佐藤工業の創業は1862年と、150年以上にさかのぼる。北陸富山の地に起業し、卓越した技術力で近代日本の黎明期を支え、現在ではワールドワイドで活躍する総合建設会社に成長している。

同社の2つの柱が建築と土木である。建築では「ゼビオアリーナ仙台」「函館アリーナ」「由利本荘アリーナ」など多くのアリーナを竣工させ(現在も横浜・みなとみらい地区で「ぴあアリーナMMを施工中」)、各地の都市開発に貢献している。

土木は創業期からの中核事業で、手がけた事業は青函トンネル、黒部トンネル(高熱隧道)、東京湾アクアライン、本州四国連絡橋など枚挙にいとまない。「とりわけトンネル工事が多く、『トンネルの佐藤』と呼ばれているほどです」と、佐藤工業株式会社 土木事業本部ICT推進部長 京免継彦氏は紹介する。

実際、トンネルの施工実績は国内トップクラスであり、国家プロジェクトのリニア中央新幹線のトンネル工事にも参画している。

近年、土木工事分野ではICTによる省力化や高品質化が進められている。工事現場におけるICT活用は、オフィスや工場と比べると格段に遅れており、人手不足が叫ばれている今、喫緊に取り組まなければならない大きな課題となっている。国土交通省は全国の工事で入札段階からICT活用による施工を盛り込んでおり、当社も、東北地方整備局発注の岩手県震災復興道路事業のトンネル工事でICT施工を実施している。これにあたり、佐藤工業は、同局がコンクリート施工工事の品質確保の手引きとして公開している「施工状況把握チェックシート」と「表層目視評価シート」をICTにより活用しコンクリート品質の向上を図っている。


選定理由

要件はマルチプラットフォーム。スマートデバイスならどれでも使えること

佐藤工業では、「施工状況把握チェックシート」と「表層目視評価シート」の入出力業務をシステム化する検討を本格化させた。

「それまでチェックシートはすべて紙で処理していました。紙のチェックシートを打ち出して、現場でチェック項目を記入し、事務所に戻ってからパソコンに向かって入力・出力していました」と同社 土木事業本部 設計部 設計第二課 森浜哲志氏は説明する。

これでは人手への依存が多すぎて、ミスの危険性もある。「国交省の手引き等を参考として書式を決定し、入力のデジタル化を目指しました」(森浜氏)。

これに歩調を合わせ、同社土木事業本部に設置されたのが、京免氏をトップとするICT推進部だ。「すでにICT活用は避けられない業界の流れとなっています。3次元スキャナーやドローンを活用した取り組みに当社も挑戦することにしました」と、京免氏は語る。

2017年、同社では新システムの概要を設計し、使用するツールや発注するベンダーの選定を開始した。

ここにおいてICT推進部が最も重視したのが入力現場におけるデバイスの条件であった。「マルチプラットフォームでなければなりません。どのようなスマートデバイスでも入力できること。しかも快適に。利用者である現場から見えるのはこの画面だけですから」と、京免氏は強調する。

選定の時期、京免氏の目に止まったのが「Biz/Browser」であった。「システム部門から『Biz/Browser』を紹介され、これだと確信しました。『Biz/Browser』であれば、スマートフォンでも、タブレットでも使えます。もちろん、AndroidもiPhoneでも大丈夫です。

現場で使用する端末を選ばないこと。これに対応できるのは『Biz/Browser』以外にありませんでした」(京免氏)。


設計開発

Biz/BrowserとWeb PerformerをWiz/CONNECTで連携。短期間で高品質なアプリケーション開発を実現!

「Biz/Browser」の採用を決めた京免氏は、次に「Biz/Browser」の可能性を最大限に生かすことのできるベンダーとしてエヌデーデー(以下NDD)を紹介された。

「お客様からの要件は入口と出口。その入口としてクライアント側の『Biz/Browser』が決まっていました。『Biz/Browser』は弊社の最も得意とするところです」と、NDD 関口貴生氏は語る。

加えて、開発期間が限られていた。数カ月で納品しなければならず、短期間で高品質なシステム開発が求められた。「そこでサーバ側にはWeb Performerを採用しました。Webアプリケーションをノンプログラミングで自動生成する超高速開発ツールです」(関口氏)。Web PerformerはキヤノンITソリューションズの提供する開発ツールで豊富な開発実績を持っている。

さらにNDDでは、自社で開発したクライアント側の「Biz/Browser」とサーバ側のWeb Performerを連携するコネクターを自動生成するツール「Wiz/CONNECT」を採用した。

NDDは独立系のITベンダーで、「Biz/Browser」を用いたシステムインテグレーターとして10年以上の実績を持っている。その開発ノウハウを凝縮した開発支援ツールBiz-SKITを提供しており、Wiz/CONNECTはBiz-SKITのオプションである。

「Web PerformerはWebアプリケーションを自動生成し、Wiz/CONNECTも連携の仕組みを自動生成します。これによりシステム構築期間を短縮し、『Biz/Browser』側の操作画面作成に時間をかけることができました」と、NDD 太田貴之氏は振り返る。

NDDに打診があったのは2018年初頭、3月には正式に受注して、4月から開発開始。5月にテストを開始し、6月末には納品できた。

「ちょうどスマートデバイス向けの『Biz/Browser SmartDevice』が新バージョンとなり、ローカルDBやローカル起動が可能になり、いいタイミングでした。オープンストリームのサポートにもずいぶん助けてもらいました」(太田氏)。


導入効果

1人当たり80h/月の残業削減効果! 新人・ベテラン問わず同レベルの作業品質を実現!

コンクリート品質管理システム「健コンカルテ」は、2018年10月から岩手の復興道路工事現場で使用されている。

クライアント側となるスマートデバイスにモバイルアプリをダウンロードすることで、クライアント側が使用可能となる。そのデバイスを持って現場に行って、コンクリートの各種施工状況を入力。

「入力は、オンラインはもちろんオフラインでも可能です。トンネル工事現場は電波の届かない場所が多いものですから、オフラインでも入力できるようにしました」と、森浜氏は語る。

現場からの入力データをクラウド上のサーバが受け取りデータ処理。その結果を事務所でダウンロードして電子帳票の形で納品する。

デジタル処理により、ペーパーレス化が進む上に、ミスを撲滅できる。当初から狙っていた作業の効率化と残業削減も実現。「事務所での入力処理は帰ってからの作業になりますので、ほとんどが残業となります。チェックシート処理は800メートルのトンネルであれば80回あり、1回1時間として80時間。この80時間の残業がなくなるのです」と、京免氏は新システムに期待している。

森浜氏はコンクリート品質管理の重要性を訴える。「コンクリートは土木工事の根幹の1つです。コンクリートの品質で、物件の寿命も美観も決まります。高品質なコンクリートであれば物件の寿命も延びるのです。新システムはその品質のチェックと向上を支援してくれます」と評価する。

「現場で入力すると同時に本社でもチェックシートの内容を確認できます。本社にはコンクリートのベテランがいてアドバイスできます。地方でも新人でも、ベテランと同じレベルの確認が可能となります。ここにICTの大きな価値があります」と京免氏も認める。

「健コンカルテ」は岩手の成功事例をベースに横展開が進められ、四国など全国で活用されていく。

ICT活用によるコンクリート品質の向上と現場作業員のレベルアップ。スマートな作業スタイルと現場作業の生産性向上を「Biz/Browser」が支援している。


ユーザープロフィール
佐藤工業株式会社

日本を代表する総合建設会社の1社。トンネルやダム、橋梁、電力施設などの土木事業。医療・福祉施設やオフィスビル、住宅、工場・倉庫、学校、スポーツ施設など建築事業。この土木と建築を2つの柱に多角的な事業を展開している。日本国内はもちろん、シンガポールの地下鉄の駅やトンネルの工事を担当するなどグローバル戦略も推進している。

佐藤工業株式会社土木事業本部 ICT 推進部長

京免 継彦氏

佐藤工業株式会社土木事業本部 設計部 設計第二課

森浜 哲志氏

株式会社エヌデーデー 公益システム事業部 グループマネージャー

関口 貴生氏

株式会社エヌデーデー 公益システム事業部 アドバンストエンジニア

太田 貴之氏

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